自由法曹団京都支部

意見書・決議・声明

ホワイトカラーエグゼンプション」を含む法案要綱の答申に抗議する声明

2007年2月3日
自由法曹団京都支部 幹事長 村井 豊明

  1.  2007年2月2日、厚生労働省の労働政策審議会は「労働契約法案要綱」および「労働基準法の一部を改正する法律案要綱」をおおむね妥当して了承する答申をおこなった。厚生労働省は、これらの法案要綱に沿って、現在開かれている通常国会に、「自己管理型労働制」(いわゆるホワイトカラーエグゼンプション)を含む法案を提出する意向であると報道されている。
  2.  現在の労働者の労働環境を鑑みるに、長時間加重労働による健康被害、過労死や過労自殺問題、残業をしたにも関わらず割増賃金の支払いを受けられない、いわゆる「サービス残業」問題、実態は雇用契約であるにも関わらず、請負契約の形式をとって企業が雇用契約上の義務を免れる偽装請負問題など、企業は、その利益追求のために違法行為を常態化させている。現在、求められている施策は、このような企業の違法行為を是正し、労働者が安心して勤労し、健康な生活を営むための環境を整備することである。しかるに、上記法案要綱はこのような現状を無視した施策を導入しようとしている。
  3.  特に、財界の強力な要請の元に提案された「ホワイトカラーエグゼンプション」は、一定の労働者について、8時間労働規制の適用を除外し、時間外割増賃金の支払いを不要にする制度であり、長時間加重労働、ひいては過労死・過労自殺を促進する制度である。
  4.  国民の圧倒的な反対を受けて、安倍首相が今国会での法案提出見送りを表明したにもかかわらず、厚生労働省がこれを「自己管理型労働制」と名前だけ変えて提案し、労政審でも労使双方の対立があったにもかかわらず、まともな審議もせず諮問後わずか9日後に答申を出すというのは、もはや民意を無視した暴挙と言うほかない。
     現在の劣悪な労働環境の改善を求める労働者やその家族の声を完全に無視
    したこの制度の導入は絶対に許されないし、新たな制度の導入に限らず、既存の管理監督者や企画業務型裁量労働制の適用範囲を変更することなどによって、これまで以上に8時間労働規制の適用を除外される労働者が増加することも、同様に許されない。
  5.  自由法曹団京都支部は、労働者に無制限の長時間加重労働を強いるこのような法案要綱の答申に断固抗議するとともに、企業の違法行為を是正し、労働者が健康かつ安全に勤労できる環境を促進する労働法制の実現を強く求めるものである。